建築・デザインの分野で活躍中の「匠」にさまざまな視点から設計の明日を語っていただきます。
LINEで送る
Share on LinkedIn

小さな町の建築設計事務所です。

一人事務所ですので特に個人住宅に

力を注いで仕事をしています。

杉、桧など地域産の木材、漆喰や和紙など

伝統の自然素材を使った住まいづくりを行っています。

まずは話をよく聞いて、言葉のキャッチボールをすることが大切

人として何らかの形で人や社会の役に立ちたいと言う思いを持たれている方も多いと思いますが、私自身も建築家である前に一人の人間として関わった方々のお役に立ちたいと思いが前提としてあります。

私の場合は一人事務所ということもあり個人、特に住宅設計の依頼が多いです。住宅の場合は特にご希望はそのご家族それぞれで或る家では喜ばれたことが別の家族では全く評価されない等多々あり、設計において正確はないと思っています。

色々と提案する前にまずは建主さんのご希望をよく聞くことから始まります。ご希望を写真や箇条書き、文章等でまとめてこられる方もおられますが中には漠然とした思いは有っても具体的にどのような家に住みたいのか考えのまとまっていない方もおられます。その時点では良いと思われていた事も話を聞いていく内「このような考え方、選択肢も有りますよ」と提案すると「ああ、そのような考え方もあったのか!」というケースも多々あります。

まずは「話をよく聞く」その上で意見や提案等をしていく言葉のキャッチボールがスタートラインとして大切だと思っています。

部屋単位でなく空間単位で考える

住まいを考えるとき、多くの場合は居間や食堂あるいは寝室など部屋単位で住まいを考えます。限られた面積の中に要求の部屋数を取らねばならない時など当然ひと部屋ひと部屋は小さく狭くなってしまい、切り詰める過程の中で本当にこの部屋は必要か?という場面がときおり見られます。

たとえば子供室、成長に伴って幼児期は親子一緒、学生になって独立した個室、結婚や独り立ちで空室となったり、時間の経過と共に多様に形態は変わります。たとえば客室、年に数回程度の来客であればそのために一年中一部屋を空けておくのはもったいないと言わざるを得ません。

部屋という単位ではなく大きな空間で考え、その一部をあるときは子供のための個室に使うとか来客のための接待や寝室に使うとか、取り外しが可能な建具や可動の間仕切りで仕切るといった柔軟な使い方のほうが、その時々に合わせた多目的で永く使える空間とすることが出来ると思います。

いいかげんにつくる(つくり過ぎない)

誤解を恐れずに言わせてもらうとこうなります。細かな要望を取り入れきっちりと造り込むことは良い事のように思いますが、永い時間の流れの中では必ずしも正解とはいえなくなってくるのではと思っています。

出来たその時点ではそれは正解だろうと思います。しかし子供の成長や結婚等、家族の成長に伴いライフスタイルそのものが変わったり、家族構成が変わったりと時間の流れの中では空間も不変ではありえません。

あまり造り過ぎない、ざっくりと造って可変な置き家具や仕切り等で使い続けたほうが長い目で見ると使いやすいこともあると思います。その場に合わせすぎないアバウトさも時には必要なのではないでしょうか。

プロフィール

山下建築研究所

一級建築士 山下光男

経歴
1951年 埼玉県さいたま市生まれ

株式会社奥野建築設計事務所勤務を経て1980年より山下建築研究所解開設

Top